記事抜粋
「私にとって彼はけっして遠い存在ではないけれど、私の傍にはもういません」
ロメロ氏はかつての恋人、ユーバートさんのことをこう懐かしむ。
「私は自分の内気な性格も忘れることができたし、心からリラックスすることができた。
ユーバートさんの腕に包まれているときは、熱に浮かされたような興奮を覚えました。
ユーバートさんと初めてその部屋で過ごした夜は、私の短い人生の中で、
本当に心地よさを覚えた夜だったといえます」
しかし、愛には必ず終わりがやってくる。2人もその例外ではなかった。
ロメロ氏とユーバートさんの関係を終わらせたのは、エイズという病による死であり、
それは永遠の断絶を意味した。
ユーバートさんが亡くなったのは1994年のことだった。
2人が共有していることが判明したHIVが原因であり、エイズの発症によって死んだのであった。
ロメロ氏は検査によってHIVに感染していることを知り、治療を開始していたけれど、
ユーバートさんは最期まで楽天的で、ロメロ氏が検査をすすめても頑として拒み、
その結果、治療を受けることなく発症となったのだ。
ユーバートさんの亡骸が埋葬された後、ロメロ氏は墓地でずっと独り佇んだ。
自分の話を聞いてもらいたくて、彼に話しかけた。
彼とずっと一緒にいたかったのに、「私をおいて逝ってしまった」ことにたいして、文句を云った。
「私にとって彼は友人であり、恋人であり、思いやりのあるとっても偉大な兄です。私は幼少の頃、それらを欠いていました」
10年以上に渡って時間と空間、感情と肉体をともにしてきた結果、
ユーバートさんは唯一無二の存在になっていた。
だからこそ、その喪失をまるで自分の多くの部分が失われたかのような痛みとして感ずるのである。
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